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医師法の解釈の明確化により遠隔診療が解禁に!
遠隔診療という考え方はかなり以前からありましたが、これまで普及してこなかった理由としてはテクノロジー以外に医師法との関係があります。
医師法の第20条で「医師は自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付」することを禁止しているからです。
これを無診療治療の禁止と言いますが、これに違反した場合は医師法33条の3第1項で50万円以下の罰金に処せられると定められています。
つまり遠隔診療がこの禁止事項に該当するかどうか法的解釈が問題で、医師法には遠隔診療が「診察」なのかどうか明示されていません。
行政側では医学的に妥当な内容であれば遠隔診療も医師法の「診察」に当たるとしていますが、あくまで対面診療が「診察」の基本解釈なので、遠隔診療は補完的なものという位置付けになっています。
したがって遠隔診療は可能であっても特別な事情がある場合に限ると考えられてきました。
ところが近年は情報通信技術の進歩に後押しされるように、厚生労働省の遠隔診療に対する解釈に変化が見られるようになりました。規制緩和の動きが出てきたのです。
遠隔診療における厚生労働省からの通知
厚生労働省はこれまで3度にわたって、遠隔診療に関しての通知または通知改正を行なっています。平成9年の段階では特定の疾患の患者、離島・へき地の患者に限定していたのが、平成15年に対面診療と適切に組み合わせて行われるときは差し支えないと改正され、平成23年に遠隔診療対象の要件を明確化しました。
平成27年の事務連絡
遠隔診療が限定的なものではないと広く知られるきっかけとなったのが平成27年の事務連絡です。地方都市部に住む患者でも対面治療が困難であれば、遠隔治療できることが確認できたのです。また平成9年に別表で挙げた対象となる疾病は例示であること、初診でも対面診療との組み合わせで遠隔診療も可能ということを明らかにしました。
禁煙外来における完全遠隔診療の通知
原則として一度は医師が対面診療をすることを定めていた厚生労働省は禁煙外来においては完全遠隔診療を認めました。これは近年の健康志向の高まりや情報通信技術の向上が影響しています。禁煙外来の遠隔診療は現時点では実施主体が情報通信技術を使う場合に限定していますが今後は他の疾病でも広がる可能性があります。