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「在宅診療が当たりまえの社会であれば、仕事と介護の両立が楽になっていたと思います。」オンライン診療の恒久化と言われている今、少しでも患者やその家族視点でオンライン診療の必要性を伝えルールにも繋がれば..という思いからご連絡をくださった。マサさん(情報産業/担当部長/50代)の実体験と合わせてなぜ「患者ファーストな医療サービス」の第一歩だと感じるのかをお伺いしました。
―MedionLifeの問い合わせではたくさんの声が集まります。
「オンライン医療の可能性」を感じ事業検討のご相談や「オンライン診療/相談ができるようになってほしい」といった当事者(患者)のオンライン診療/相談への切実な想いなどいただくことがあります。この”発想”や”想い”を少しでも発信し続けることが”次の医療への架け橋になる”きっかけだと思いボイス記事を始めました。※ご了承をいただき記事にしております。―
10年続いた介護の付き添いの負担。診察3分、移動と待ち時間は3時間以上
自宅介護も含め10年近く両親の介護をしてきて、とくに大変だったのは通院に付き添うことでした。
特別養護老人ホームへの入所後も、親の発熱や体調が悪くなった場合は、必ず家族が病院へ連れて診療を受けなくてはいけません。緊急以外にも糖尿病や高血圧も患っていたので定期的な診察を受けに同行していました。
時間的にも経済的にも大きな負担です。付き添いとなると会社を半日または1日お休みをいただかないといけなく、周囲への迷惑、業務への支障にならないかなど不安な気持ちになってしまうこともしばしば。
付き添いは仕方がないとわかっています。それでも多くの診察はヒアリング程度で3~5分。あとは待ち時間と送迎で3時間以上かかる・・・これを毎回家族総出となって行っていると毎回「なぜ…?」いう、なんともいえない気持ちになります。
治療や採血が必要ないときはオンラインを通して診療ができればすくなくとも時間の半分以上は削減できたのでは?と日々感じます。必ず家族が付き添わないといけないので、付き添う家族の負担を考えた通院スタイル・診療スタイルがあればと今でも感じます。
対面診療の受診とオンライン診療を組み合わせれば、「患者」や「その家族」の生活や気持ちへの負担はすごく軽くなると思うんです。
待たない病院システム~アメリカ事例
オンライン医療も選択できることは「患者ファーストな医療」の一歩だと感じています。
働き方も家族のあり方も変わった日本社会において「病院での待ち時間」は大きな問題且つ変えていかなくてはいけない点だと思います。
約10年間米国で駐在して、日本と米国の医療サービスの違いを痛切に感じてきました。米国での医療は「患者ファースト」であり、病院で待たせることや、治療による患者への肉体的、精神的な負担を感じたことがありませんでした。
<アメリカ駐在時に受けた医療スタイル>
米国内で移動した場合(自分の場合はミネソタ州ミネアポリスからペンシルバニア州フィラデルフィアでしたが)には、Family Doctor(かかりつけ医)を探し、対面で会った医師の中から自分の家族のFamily Doctorを決めることから生活が始まりました。病院は予約した時間にいけば1分と待たずに診察を受けることができるため、待合室で他の患者さんとあったことは一度もありませんでした(Family Doctorのところでは)。
待つことが当たり前の病院システムは本当に患者のためなのか?と大きな疑問をもつきっかけになりました。
あったらいいなぁのオンライン医療サービス
すべて病院に行くというシステムではなく「一度オンラインを挟める」システムや付き添いを「オンラインでも選択できる」ようになればと実体験も踏まえ願うことです。
- 介護施設での各個室でのオンライン診療、患者家族もオンライン診療にオンラインで参加出来ること
→ やはり介護の中でも通院の補助が大変でしたので一番願うことです。 - 在宅である程度の検査が可能となる診療キットをドラッグストアでの購入が可能となること
→ 会社員なので急な年休申請は難しいため、”行く”手間は省けるようになってほしいです - 自分のカルテ(レセプトデータ)の本人受諾によるクラウドでの管理と本人医療データの医療機関への授受が自由になること
→ 日本の保険制度や医療システムが素晴らしいことはアメリカとは比較にならないほど良いと実感しています。ただし、現状のオンライン医療や日本では規制や法律の壁があるため、「患者ファースト」を実現する新しい技術(ICT)や制度改革は困難だとわかっています。それでも、「患者ファースト」な社会の実現に少しでも寄与するための希望と夢も踏まえてお伝えしたい内容です笑。
>その他
- 海外に住む日本人や外国人も受診できるオンライン診療
- ヤマトや佐川のように持ってきてくれる流通サービスを使った「家から検査機関」「病院から家」への医療情報やデータの流通
「オンラインを挟んだ診療」や「オンライン付き添いの選択」を当たり前に
オンライン診療が選択できる当たり前の社会になり、病院の待合室が無くなり、快適なホテルのコンセルジュコーナのような病院が増え、体調が悪くても快適な空間の病院(米国のように)になっていけばいいなと思います。
そして、高齢化がますます進む中で医療従事者の仕事が少しでも楽になり、高度医療をより多くの人が平等に受けられる社会になることが、オンライン診療のもつポテンシャルだと信じています。
医療は「人」のためにあり、「患者ファースト」は患者の「甘え」ではなく、「病気と闘う人」の「当たり前」だと考えることは間違っているのでしょうか。
MedionLife編集長。1994年生まれ 京都女子大学卒業。医療系IT企業に入社し、オンライン診療サービスの営業/コンサルティングに従事。オンライン診療情報サイトの重要性を感じたことからMedionLifeを立ち上げる。新しい医療を考える人たちのサポーターになっていきたいと考えている。