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どうなる?これからの遠隔診療の市場規模
日本における遠隔診療は、高齢化社会を見据えて、いち早く動き出したアメリカなど海外諸国に比べると遅れていると言われています。
というのも医師法の規定にもある通り、日本では対面診療が原則。特別なケースを除いて遠隔診療が認められていなかったからです。
ところがここ数年、厚生労働省が遠隔診療の法的解釈に柔軟な姿勢を打ち出しており、対象地を離島やへき地に限らず、SNSやメールなどを遠隔診療のツールとして認めるようになりました。
スマートフォンの普及により誰でも遠隔診療を受けられる環境があり、受診する場所を制限する理由がなくなったため、遠隔診療の市場拡大が見込まれているからです。
2020年までの動向
市場調査会社のシード・プランニングの資料によれば、遠隔診療サービスの国内の市場規模は2016年度の77億5000万円から、2020年度までには192億円になると予測しています。
これだけの短期間で約2.5倍の成長率が見込まれているのは、これまで比率が高かった健康相談サービスよりも今後は遠隔診療の比率が高まると分析結果から導き出されました。
具体的には2016年度では「遠隔診療が約30%」「健康相談サービスが約70%」、2020年度になると「遠隔診療が約40%」「健康相談サービスが約60%」と推定されています。
これは厚生労働省の遠隔診療に対する考え方の変化や内閣府が経済財政運営と改革の基本方針2015の中で「遠隔医療の推進」が盛り込まれていることが明らかに関係しています。
また日本では2020年のオリンピックに向けて通信インフラが整備されていくことが予測され、それも遠隔診療成長のプラスの材料として働いているのが事実です。
とはいえ、日本においてはやっと遠隔診療ができる環境が整ってきたといった段階で、方向性はまだ明確になっていない部分があります。
今後はスマートフォンの機能拡大やセンサー技術などテクノロジーの発達によりできることも変わっていくと考えられますが、日本独自のきめ細やかな遠隔診療サービスに発展することに期待したいところです。