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20代で一度はミネラル検査をすることを当たり前に
未病ケアやミネラルヘルス🄬を日本医療のベーシックにするため自ら未病ケア専門クリニックを開院し、普及活動など「ミネラルヘルス🄬」分野で多彩に活躍している登坂正子先生にインタビューさせていただきました!
※ミネラルヘルス🄬とは、未病ケアを目的に、酵素の働きを助け、カラダとココロをつくる土台となる「ミネラルバランス」を整えることを意味します。
日本の医療財政の救済や現代女性の健康に重要な未病ケアとミネラル。 なぜ未病ケアやミネラルヘルス🄬を拡げようと思ったのか、登坂先生の医療におけるキャリアヒストリーから紐解きます。 挑戦し続ける理由は、臨床検査の結果や原因不明の症状に悩まされる患者さんと向き合い続け、違和感と発見を大事にしてきたからでした。 |
▼登坂先生関連インタビューシリーズ
【キャリア編】新しい診療スタイル「未病ケアクリニック」に挑戦する女医
【医療知識編】特に女性に知ってほしい!妊活健活を支えるのはミネラルバランス!
【未来の医療編】オンライン診療と今後の医療について
東京女子医科大学卒業後、附属心臓血圧研究所で研修・研究・学位取得。徳山医師会理事、周南女性医師部会会長など歴任。
循環器専門医、抗加齢医学会専門医、産業医、米国NTI認定栄養コンサルタント他。生活習慣病という言葉ができる前から、「からだ」と「心」における食生活・栄養素バランスの重要性を唱え、病気予防・進展予防を観点においた診療を始める。2005年 医療法人淳信会 理事長に就任。2016年過去の医療の集大成として中野区鷺宮に分院を開設。
専門は、循環器内科全般、栄養学(分子栄養学、ホリスティック栄養学含む)と心理学及び西洋医学を融合した診療スタイル
本院:まさこメディカルクリニック(山口県周南市) 保険診療主体のクリニックです。クリニックでありながら脳神経科・リウマチ膠原病内科・循環器内科・消化器内科と複数の医師が勤務し、専門性の高い診療を行うとともに「ホリスティキュア酵素体質チェック」による食事指導に力を入れ、お薬を少しでも減らす診療を行います。未病ケア、病気予防・進展予防、治療をトータルで行っています。分院:ホリスティキュアメディカルクリニック(東京都中野区鷲宮) 自由診療のみ。未病ケア「ミネラルヘルス🄬」での美活・妊活・健活をサポート。 隣接されたホリスティキュア栄養スタンドでは個々の体質に最適な栄養アドバイスを行っています。 |
循環器専門医から未病ケアのエキスパートになることを決意
―なぜ未病ケア専門クリニックを立ち上げたいと思ったのでしょうか?
昔から、病気予防・進展予防を目指し、なおかつ出来るだけ薬を減らしたいというのが私のテーマだったので食育(食事指導)に力を入れてきました。
聞き慣れないというより、ほとんどの人が、自分のどこが「未病」なのか、どこが病気になる前段階なのかわからないと思います。また、症状があっても現在の医学的な検査データに異常が出ないと、人は医者を転々とするドクターショッピングを繰り返し、結局は原因がわからないままに医療費だけが増えていくというケースもあります。
そこで、その様な方を減らすために未病ケア専門クリニックを立ち上げたいと思いました。
薬を減らしたい理由は、本院での臨床研究の結果で、薬に頼らず食事指導をきちんとすると治療の成果が良くなるということがわかったからです。
―未病ケアを拡げる難しさとはどういった点ですか?
日本には国民皆保険制度があり、病気になれば誰でも安い自己負担で治療してもらえるため、なかなか未病ケアを広めることは難しいです。また未病ケアに関する診療科が明確にありません。そのため、病気の前段階でみてもらえる窓口(診療科)がないのが問題です。
未病ケアは自由診療枠のため医療費が保険診療より高額になってしまうので、気軽に受けられないことが大きな理由です。
未病ケアというジャンルを広めたいと山口県の本院時代から取り組んできましたが、30年たっても広められませんでした。そんな時、神奈川県が「未病」について県を挙げて取り組んでいると知り、東京近郊なら広められるかもしれないと考え、2016年12月に東京都中野区へ分院を立ち上げました。
東京でも苦難の連続でしたが、事業構想大学大学院のマーケティングの先生とのご縁ができ、学んだことを少しずつ実行することで、医師としての診療や臨床研究だけでなく、未病ケアやミネラルへルス🄬に関心のある企業様の顧問としての仕事や、ミネラルへルス🄬を一緒に広めていくための同志であるミネラルへルスコーチ「プロ」の育成事業などもスタートでき、ようやく広がりを見せつつあります。
未病ケア「ミネラルヘルス🄬美/妊/健活」をライフワークにしたいと考えた6つのきっかけ
【①大学病院時代:治療+α重要なことを気付かせてくれた患者さんとの出会い】
病気の重症度から考える医学的予後と個々の患者さんの実際の予後(≒余命)が異なるという経験を大学病院勤務中に何度かしていました。
大学卒業後、日本心臓血圧研究所=心研(現在の東京女子医科大学循環器内科)に入局しました。心研は当時日本における循環器専門のトップクラスの病院として、全国から循環器疾患の人が集まってくる病院だったため多くの重症患者様を診てきましたが、医師の予想する寿命を超えて長生きする方たちにはある特徴がありました。
―ミネラルの重要性に気づけたきっかけは先天性心疾患の患者さんとの出会い
先天性心疾患の患者を主治医として受け持ったことが、ミネラルをはじめとする微量栄養素の重要性に気づく最初のきっかけでした。その患者さんは30代でしたが、当時の医学ではこの歳まで生きていることが珍しい症例で医学的予後(≒余命)もあと数年だったのですが、その後約10年も長生きされたのです。まだ大学を卒業したての若い主治医である私でしたが、食事指導をはじめ生活習慣のアドバイスを素直に守ってくださる患者さんでした。
生きようという気持ち、出来ないことを探すよりも出来ることを自分で探す前向きな気持ちが印象的な方でした。その患者さんのおかげで、医学的治療に並行して大事なものは「食事とメンタル面」だと気づくことができたのです。この前向きになるメンタルを支えるのが「微量栄養素」であると気付き、医学的治療以外に食事指導も重視するようになりました。
―微量栄養素を意識した食事指導の重要性を感じる
もともと循環器疾患は塩分制限などの食事指導が必須でしたが、型通りの大雑把なものでした。しかし開業した時に原因不明症状で来られた患者さんを診察したことがきっかけで、食事指導でもっと微量栄養素を考える必要があると思うようになりました。
【②開業後:原因不明の患者さんとの出会い】
開業後、足がしびれて動かなくなり、歩けなくなった患者さんが私のターニングポイントになりました。病院を受診しても原因不明で、ドクターショッピング(病院を転々とすること)を重ねたあげく最後の望みといって外来に来られました。もちろん医学的な検査結果は異常ありません。様々な文献を探した結果、有害ミネラルが原因だと突き止めました。
―原因不明の症状の原因は有害なミネラル。サプリメントにも注意だと知る
約30年前はサプリメントの基準も甘く、有害なミネラルが含まれていたサプリメントが存在していたのです。そのサプリメントの摂取で弊害が起きて、透析でその有害ミネラルを除去したという論文を見つけたのです。このことに気付いた時、医師も最新の栄養の知識(栄養学)が必要だと思いました。
―メンタルとミネラルの関連性について
有害ミネラルや微量栄養素の勉強を続けていくと、「メンタルをサポートするにもミネラルが大事。必要なミネラルは体内で作ることができないので、きちんと摂取することが重要(栄養指導に通ずる)。」ということがわかりました。
また、食べ物をきちんと消化吸収するにも、皮膚・筋肉・ホルモンなどを作るためにもミネラルをはじめとする微量栄養素が必須であり、有害ミネラルが蓄積するとその工程がブロックされることがわかりました。
有害ミネラルとは、水銀やカドミウム、鉛など体に害を及ぼすミネラルで、体内では少ないほど良いのですが、知らないうちに体内に蓄積していることが多いのです。まぐろなどの大型魚は水銀の蓄積が多いことがわかっていますし、水銀と自閉症の関係を書いた論文も出てきています。
【③フランス学会やビタミンバイブルとの出会い】
「ビタミンバイブル」という本に出会ったことや、亡父がビタミンBの研究で医学博士を取得したと知ったこと、学会でフランスに行った時にミネラル療法を取り入れているドクターに出会ったこと(1995年頃)などが重なり、微量栄養素への興味がさらに強くなりました。
―ビタミンバイブル(本)との出会い
ビタミンバイブルという本がとても衝撃的で、微量栄養素(ミネラルやビタミン)の重要性や今までの研究内容の集大成のような本でした。
フランスで出会ったドクターのミネラル療法にはとても感銘を受け、日本でも広めたいと思いましたが、当時は保険診療が適応されないミネラルの検査は1項目でも1万円かかり、一度は断念した過去があります。
しかし今では、カラダの中のミネラルを測定できる「オリゴスキャン」が日本にも導入され、体内の必須・参考ミネラルなど20項目と有害ミネラル14項目が簡単に短時間で測定できるようになり、分院の未病ケア専門クリニックを立ち上げることができました。
【④サプリメントによる健康被害の患者さんとの出会い】
サプリメント被害の患者さんを診察させていただいたことがきっかけで未病ケアの重要性にたどり着きました。
―サプリメントのアドバイスを未病ケアクリニックでも行う必要性
市販のサプリメントが増えたことにより、誰でも簡単に手に取れるようになりましたが、薬に副作用があるようにサプリメントにも副作用があることはあまり知られていません。
ミネラルはバランスが大事なのですが、体内の過不足を知らないまま、特定のミネラルのみを含むサプリメントを摂取することで体内のミネラルバランスが崩れ、逆に体調が悪くなり当院に来院される方や、ご自分で選ばれたサプリメントがきちんと体内で吸収されていないのか、ミネラルバランスが改善されておらず、サプリメント代金が全く無駄になっておられる方もいました。
サプリメントも食品のひとつですから、消化・吸収・代謝の状態は人それぞれです。また何らかの病気がありお薬を服用中の方は薬との飲み合わせが悪いサプリメントもあります。自分にとって必要なものを安全に効率よく補っていただくために、サプリメントのアドバイスやご提案もしています。
【⑤糖尿病患者向け微量栄養素を考えた600kcalフレンチツアーを主催】
以前の栄養指導は「塩分制限」「カロリー制限」「三大栄養素の話」が主流でした。食品の持つ力、微量栄養素については重要視していなかったのです。例えば、心疾患の患者さんは糖尿病や高血圧なども合併している方が多いのですが、それらの方に対する食事指導はされていても、美味しく食べてもらうという概念が希薄でした。
― セミナー付きグルメツアー
当時、糖尿病患者さんへの食事指導は多大なる我慢を強いるものでした。私自身が食べることが大好きだったので、食品交換表とにらめっこしながら極限までカロリーをそぎ落とし、○○Kcal以下に抑えましょう、という食事に「食べる楽しみ」を感じられず心苦しい思いをしていました。
美味しく食べて健康にいいものがあるはず!と思い、その頃、広島にいるフレンチシェフに話をしたところ、とても共感して頂けました。カロリー制限の中でフレンチのコースメニューを考案してもらい、当院の患者様の中から希望者を募り、スタッフと一緒に広島まで連れていくというボランティア活動をしていました。フレンチのコースで1食600~700kcalは当時としては画期的で、患者様からも大好評でした。(当時はフレンチ=高カロリーが主流でした)
その後、院内でも食事指導が必要な患者様向けに、院内で調理したお弁当付きの微量栄養素セミナーを開催し薬を減らすのに大いに役立ちました。
(このメニューの一部は「超食事革命」という本として1997年出版されました。)
【⑥自分自身の実体験からの学び】
自分自身の経験では、誤診で脾臓を摘出しているということがさらに栄養学の重要性を感じることになりました。
たまたま検査で脾臓の癌を疑われ摘出手術をしました。今から10数年前「子供に脾臓は必要だけど大人には不要。癌であれば早く摘出しないと数か月で死ぬ」と言われ摘出したのですが、結果は癌ではなかったのです。手術担当医は脾臓を触った瞬間に癌ではないと思いつつ摘出したそうです。
摘出前後で見ると活性酸素の値がはね上がり、活性酸素値がいろいろ食事を注意しても改善しにくくなりました。脾臓摘出の影響と考えています。過剰な活性酸素は疲れのほかにも細胞老化やガン、生活習慣病との関連が注目されています。とられた脾臓は戻ってきませんから今後も私の身体は要注意なのです。私の場合は誤診での摘出でしたが、臓器を摘出するような病気を予防するためにも未病ケア、未病対策が必要なのです。
おわりに
私が学んだ心研の教授は患者様から学ぶことを大事にする教育をしてくださいました。
日々の診察の中で疑問に思ったことをなぜか?と考えることから、病気予防・進展予防は「体内の命の生産工場」のメンテナンスが重要だと気が付きました。「体内の命の生産工場」は食べたものを材料として、骨や筋肉などの部品のみでなく、様々なホルモンや 生きていくために必要なエネルギーも作り出します。
その生産工場の過程をスムーズに動かすのに必要なのがミネラルなどの微量栄養素なのです。未病ケア「ミネラルヘルス🄬美活・妊活・健活」は、皆様の命の生産工場のメンテナンスであり、あなたにとっての工場の生産効率を最適にしていく方法なのです。
MedionLife編集長。1994年生まれ 京都女子大学卒業。医療系IT企業に入社し、オンライン診療サービスの営業/コンサルティングに従事。オンライン診療情報サイトの重要性を感じたことからMedionLifeを立ち上げる。新しい医療を考える人たちのサポーターになっていきたいと考えている。