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12月9日・10日にメドピアと日本経済新聞社の共同主催で「Healthtech/SUM2020」が開催されました。医療・ヘルスケア分野における最新テクノロジー(ヘルステック)とそれを活かした先進事例を紹介するグルーバルカンファレンスです。そのひとつに『COVID-19時代「オンライン診療」のリアル』をテーマにパネルディスカション&デモが行われました。
当サイトではHealthtech/SUM2020の内容を以下の3記事に分けてまとめています。
前篇:加藤先生が解説する「オンライン診療の事前知識」
中篇:各ベンダーが紹介するオンライン診療システムについて
後篇:黎明期からオンライン診療サービスを手掛けてきたからこその意見と「オンライン診療とこれからの医療」について
この記事では中編の各オンライン診療事業者が「オンライン診療と今後」について語った要点をまとめました。
Healthtech/SUM2020の概要
テーマ:COVID-19時代「オンライン診療」のリアル
COVID-19パンデミックによる時限措置としてオンライン診療の規制が緩和され、オンライン初診解禁から、一気に国内でもオンライン診療の利用が進んでいます。より多くの人に使われることで見えてきたオンライン診療のリアル、そして最適化されていくソリューションについて、各プレイヤーが議論します。
こちらから聴講可能ですURL:https://channel.nikkei.co.jp/d/?p=healthtechsum2020a&s=2873
1’30~オンライン診療とは(事前解説) 13’15~各ベンダーによる紹介 1’02’00~各ベンダーが考えるオンライン診療について
2.ベンダーに聞きたいオンライン診療に関する3つの質問
実際にオンライン診療サービスを導入する際によくある質問に対する各ベンダーのコメントをまとめました。
―①導入検討のポイントは?
- 現在コロナ感染拡大もあるので、ほとんどが導入コストを無料にしている。
- 「どのベンダーシステムも似ている」という声は挙がりますが、オンライン診療システムを売ることだけがメインではない。医療システムや体制を変えていくことやサポートすることもオンライン診療を通して行っている。運用や素朴な疑問に答えられるかこういった部分も比較して自分に合ったシステムを導入検討するといいと思います。
―②誰から費用をいただくのか?
- 誰から費用をいただくかは「医療機関から費用をいただく」または「医療機関の導入は無料、患者のシステム利用料がベース」の2パターンが多いです。
―③(オンライン診療システムのみでの)ビジネスモデルは考えていますか?
「ビジネスモデルは考えていない」
- オンライン診療システムでビジネスモデルは考えていません。医師と患者が繋がることから考えており、顧客管理ツールとして活用できるところまでを見据えています。ビジネスモデルとは少し違うかもしれませんが、オンライン診療システムを導入されたかかりつけ医が患者さんにマーケティングできるようになることは考えています。
「ビジネスモデルを考えている」
- オンライン診療だけに留まらずクラウドなどの他サービス、(医療体制を整えていく)DXを普及するようなシステムも考えたビジネスモデルを考えています。
3.各ベンダーの考えと医療のこれから(おわりに)
講演最後に一言ずついただいたコメントです。
LINEヘルスケア (室山) プロダクト自体ではなく顧客体験を高めていくことが特に大事だと考えています。医療機関に触れることは非日常。普段から触れているLINEを通じてアクセスしやすく日常化できるところがLINEヘルスケアの最大の価値になってくるかと思います。
MRT(小川) doorは使いやすいシンプルなカタチに開発しています。複合的な業務フローを変えることは医療機関にとって負担が大きい。負担がなく対面診療と合わせやすいオンライン診療システムをこれからも目指していきます。
MICIN(原) 先生から信頼を得ていることが強みだと感じます。コロナを機に、オンライン診療を始める際、真面目な先生が真面目な先生にご紹介してくださり拡がっている印象を受けています。これからも真面目に信頼と安心のできるサービスを提供していきます。
メドピア(石見) オンライン診療は目的ではなく手段だということを取り違ってはいけないと強く思います。コロナの時代になり本当は患者さんと対面であったはずの人たちに医療を届けないといけなくなっている。そこで手段としてオンライン診療、点でしか繋がれなかった患者さんを薬局、家族も含め線でつなげることができます。本当の意味でのかかりつけがようやくこの時代で実現できると感じます。
インテグリティヘルスケア(園田)現状の社会背景も含めてオンライン診療がいよいよ医療提供の手段のひとつとして一般化してきます。改めてオンライン診療を振り返ってみると、オンライン診療ガイドラインに基本理念として①日常生活の中の患者様の情報を把握することによる医療の質の向上 ②アクセシビリティの向上 ③患者様の治療への参加によるアウトカムの向上この為にオンライン診療を行うと記載があります。
現状は、社会情勢を踏まえて②アクセシビリティの向上がメインに進んでいますが、オンライン・デジタルの可能性は現状に留まる事ではないと考えています。今後は、①・②を含めてオンライン診療を入口にデジタルの活用を臨床現場に届けていく事が次のチャレンジになっていくと考えています。
メドレー(田中) 黎明期からオンライン診療に取り組んできており、この5年間でべき論だけなく、現場のどういうふうに落とし込んでいくか、どんなふうに寄り添っていくのかなどたくさんの経験をしてきました。院内での導入反対している人にどう理解してもらえるかなど綺麗どころじゃない部分が発生してくることもありました。これからオンライン診療のべき論だけなく、どうやって落とし込むのか、どんな大変なことがあったのかなど身を持ってお話できるので是非お声かけください。色んな面白い話ができると思います。
デジタルハリウッド大学院(加藤) 最初はオンライン診療という言葉がひとり歩きしていたが、「外来診療、入院、在宅診療、そしてそれに続く4つ目の診療スタイルに「オンライン診療」になると言われている。2020年12月にオンライン診療に関して政府の考えが発表される。まずはここに注目してください。
前篇:加藤先生が解説する「オンライン診療の事前知識」
中篇:各ベンダーが紹介するオンライン診療システムについて
後篇:黎明期からオンライン診療サービスを手掛けてきたからこその意見と「オンライン診療とこれからの医療」について
MedionLife編集長。1994年生まれ 京都女子大学卒業。医療系IT企業に入社し、オンライン診療サービスの営業/コンサルティングに従事。オンライン診療情報サイトの重要性を感じたことからMedionLifeを立ち上げる。新しい医療を考える人たちのサポーターになっていきたいと考えている。