【歯科医師向け】1/3 歯科オンライン診療について~基礎/歴史編

歯科オンライン診療を最前線でご活躍されている日本遠隔医療学会 歯科遠隔医療分科会 会長の長縄拓哉先生による【Tele-dentistry regular meeting-歯科オンライン診療】が2020年5月に毎週1回 オンラインセミナーが開催されていました。歯科オンライン診療に関する制度や歴史について長縄先生がお話しておりました内容を記事にまとめました。

長縄拓哉 Takuya Naganawa

ムツー株式会社 代表取締役 デジタルハリウッド大学大学院 歯科医師 / 医学博士

1982年生まれ。東京歯科大学卒業。初期研修医時代から都内大学病院で口腔腫瘍、顎顔面外傷、口腔感染症治療に従事。
デンマーク・オーフス大学で口腔顔面領域の難治性疼痛(OFP)について研究。口腔顔面領域の感覚検査器を開発し、国際歯科研究学会議(IADR2015, ボストン)ニューロサイエンスアワードを受賞。2017年、OFPの研究グループJapanese Center for Orofacial Neuroscience (JCON)設立。デンマークと日本の研究活動推進プロジェクト(デジタルヘルス)JD-Teletech日本代表。
日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会会長。日本口腔顔面痛学会評議員。日本口腔内科学会代議員。

 

これから歯科オンライン診療について学びたい方に向けた記事であり、歯科オンライン診療に関するガイドブックとしてまずお読みいただければと思います。
記事は3つに分けております。順に読めば歯科オンライン診療を始める準備段階までの知識を得られる内容となっています。是非ご覧ください。

  1. 基礎/歴史編:なぜオンライン診療をはじめたのか?|遠隔診療に関連した法整備について|歯科に関するガイドライン上の内容とは?
  2. 基礎/制度編:オンライン診療について|遠隔医療の種類|オンライン診療と相談のちがい|遠隔健康医療相談について|オンライン診療でできること
  3. 新型コロナ編:新型コロナウイルス時限的措置|コロナ時限的措置時期にオンライン診療を行う場合|点数について

 

 

なぜオンライン診療を始めたのか

 

私の専門は口腔顔面痛という口腔内や顔面領域の難知性疼痛なのですが、痛みの診断方法や治療方法などが確立されていないちょっと厄介な病気(痛み)なんです。

そのため、診断も治療も手探りで進めていくこともあって、実際の外来で行っていることのほとんどは患者さんとのお話なんですね。投薬とか認知行動療法とか運動療法とかもちろんやりますが、結局一番大事なことはゆっくりお話をすることだったりするんです。精神科の外来と似た感じですね。ただ、いくらお話することが大事だと言っても、患者さんは痛みに耐えながら病院まで足を運んでくださるのに、ぼくと話すだけで帰ってもらうというのが、なんとなく申し訳ない気持ちになっていて、お話だけならビデオ通話でいいんじゃないか?と思ったんです。

2017年当時、精神科の外来はオンライン診療(当時は遠隔診療と呼ばれていました)と相性がいいよねって話を聞いていたので、私の外来もできるんじゃないかなって思ったんです。

口腔顔面痛の外来をオンラインで始めたのが、日本で初めての歯科オンライン診療かなと思います。

現在は病院を退職してしまったので、口腔顔面痛のオンライン診療は行っていませんが、歯科訪問診療の現場でオンライン診療を活用しています。

 

 

遠隔診療に関連した法整備について

 

ここからは遠隔診療の法整備についてお話しさせていただきます。

現在は「オンライン診療」という呼称ですが、2018年のオンライン診療に関するガイドライン(オンライン診療の適切な実施に関する指針)がでるまでは「遠隔診療」という呼称でした。遠隔診療に関して平成9年までさかのぼりますが、当時はまた定義が違ったため「遠隔診療」の法整備と呼ばせていただきます。

上記のスライドは平成27年(2015)の8月に出た事務連絡です。遠隔診療が実質解禁!と捉えられたことで有名な事務連絡になります。
実はこの前に平成9年(1997)にも遠隔診療に関する通知が出ていました。平成9年の通知では「オンラインでもビデオ通話とかを用いたとしてもそれが直ちに医師法の20条に抵触するものではありませんよ」といった内容が記載されていました。

元々遠隔診療は、医師法20条に抵触するかどうかが議論されていました。例えば、医師が実際に対面で患者を診ずに、ビデオ通話などの情報通信機器を用いて診察を行うとして、果たしてそれは正確に所見が取れて診断がちゃんとできるのか?と言った議論がされていました。

そんな中、この平成9年通知には、「オンラインでもビデオ通話とかを用いたとしてもそれが直ちに医師法の20条に抵触するものではありませんよ」といった内容が記載されていました。なので、遠隔で診察することはOKとなりました。ただ、その頃には離島や僻地での遠隔医療が想定されていたり、限られた疾患しか診られないというしがらみが強くあり、それが上記の平成27年の8月の事務連絡で、疾患何でもいいよ!という話になり、実質解禁!といわれたんですね。遠隔医療界隈がすごく上がりましたよね。

歯科の方はどうかというと、平成27年の事務連絡で、医科と歯科が同じように進められていて、事務連絡の中に「歯科」というワードも12箇所くらいありましたね。

 

 

オンライン診療ガイドライン上での歯科は?

 

遠隔診療は、平成30年(2018)の3月30日「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、指針という)からオンライン診療に名前が変わりました。

オンライン診療に加えて、オンライン受診勧奨、遠隔健康医療相談なども定義されました。

自費も保険もこの指針を守っていきましょうというガイドラインになりますが、今まで医科と歯科が同じように扱われていたこれまでの事務連絡とは異なり、この指針には歯科についての記載がなく、想定されていないんです。

 

 

平成30年の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に歯科が想定されていないままでは困りますので、この指針の「見直しに関する検討会」が開かれています。(歯科オンライン診療の可能性やケースについても議論されています。)

 

医師と同じように【D to P】と記載されていますが、ここではDがドクターではなくてデンティストです。【D to P】、医師だけでなく歯科医師と患者間のオンライン診療も可能性としてありますよね、できますよねと議論されています。

 

 

オンラインで患者さんを診察する(D to P)は、外来だけではなく、在宅医療や訪問歯科の現場でも用いられます。その場合、患者さんの隣に看護師や介護士がいたり、歯科衛生士(DH)がいるケースもあります。歯科医師の指示のもと口腔衛生指導を行う【D to P with N(DH)】ケースについても想定されています。

ご存知のように、新型コロナウイルスの時限的特例的措置に関する事務連絡が二つ(令和2年4月24日事務連絡令和2年4月27日事務連絡)出ています。オンライン診療で初診料が算定できるようになったり、再診料に加えて指導料が算定できるようになりました。これらはあくまで時限措置ですので、今後の歯科オンライン診療に関する議論は、この検討会で引き続き議論されていくものだと思っています。

 

▼新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの時限措置として、歯科でもオンライン初診料が算定できるようになりました。

もともと歯科では電話再診が生きていましたが、さらに新しく55点が算定できることになりました。
あくまで新型コロナウイルスの時限対応は時限的なものと考え、いずれなくなるものだと思っていただきたいと思います。

実はみなさんそろそろ日常の生活を取り戻しつつあって、歯科のオンライン診療って必要ないかも?と、普通に対面診療すればいいんじゃないか?と思い始めているかもしれません。この新型コロナウイルスの脅威が薄れたとしても、今後新たな感染症が蔓延する可能性もありますし、災害などで通院が困難になることも想定しておく必要があります。

今回の時限措置が一度なくなったとしても、オンライン診療を適切に進めるための議論は続けていく必要があります。歯科オンライン診療にどんなことができるか、今後も検討を重ね、より良い医療が提供できるようになったらいいなと思っています。

▼新型コロナウイルス時限的対応に関する詳細はこちら
【歯科医師向け】3/3 歯科オンライン診療について~新型コロナ編
 新型コロナウイルス時限的措置|コロナ時限的措置時期にオンライン診療を行う場合|点数について

 

↓ 2020年5月29日に開催された講演内容はこちらです。

 

>>2,3の記事へ

2.基礎/制度編:オンライン診療について|遠隔医療の種類|オンライン診療と相談のちがい|遠隔健康医療相談について|オンライン診療でできること

3.新型コロナ編:新型コロナウイルス時限的措置|コロナ時限的措置時期にオンライン診療を行う場合|点数について

 

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