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新型コロナウイルス感染者数の増加に対して、4月10に厚生労働省が事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的特例的な取扱について」を発出し、オンライン診療の導入医療機関数は増加し、一般的にも非常に高い注目を集めました。
緊急事態宣言により一時は減りましたが、解除以降に再び感染者数が増加しており、第二波が来ているというニュースを耳にする機会も増えてきました。
今回は、感染者数増加に伴いオンライン診療を導入するか悩んでいる方に向けて、オンライン診療の動向や導入検討の際のポイントについてご紹介します。
1.コロナ対策で需要が増えたオンライン診療の動向
新型コロナウイルス感染症の影響により、月を追うごとに多くの医療機関の収入は大きく落ち込んでいます。日本医師会は7月22日に2019年度と比較した2020年3~5月のレセプト(入院外)調査を公表しました。
病院では、2020年5月、総件数(実患者数に相当)、総日数(延べ患者数に相当)が対前年同月比で約2割減少し、総点数(入院外保険収入)が1割以上減少しており、診療所でも、総件数、総日数、総点数のすべてが対前年同月比で2割以上減少しています。 一方、2019年にはほとんど算定のなかった電話等再診は4月以降急増し、4~5月には再診料または外来診療料算定回数の2%前後が電話等再診でした。(出典:新型コロナウイルス感染症対応下での医業経営の状況 http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20200722_2.pdf) |
同日、医療情報のネットワーク化を推進するメディカルデータビジョン株式会社によると、新型コロナウイルスによる院内感染を含む感染防止のための非常時の対応として認められた電話や情報通信機器(以下、「電話等」)による診療・服薬指導の規制緩和で、電話等診療が急増したことが公表されています。(引用元:https://www.mdv.co.jp/press/2020/detail_1351.html) |
このとおり、新型コロナウイルス感染症の院内感染の懸念から通院患者数が減少したことによって医療機関の収益が減少しているため、収益を確保したいという医療機関のニーズと、医療機関への通院による院内感染は避けたいが診療はして欲しいという患者のニーズが合わさり、電話または情報通信機器を通じた診療が増えたと考えられます。
2020年9月、厚生労働省HPに掲載されているオンライン診療に対応している医療機関のリストには、1万件を超える医療機関が掲載されております。(電話による診療も含まれている為、実数字は不明)
2.オンライン診療を導入するときに確認するべき基本的な内容
新型コロナウイルス感染症予防対策でのオンライン診療に対する患者のニーズが高まっていることや、時限措置によりオンライン診療の実施要件が緩和されていることから、医療機関のオンライン診療の導入が進んでおります。
オンライン診療システムの導入検討時に確認すべき基本的な内容を改めて見ていきましょう。
1つめは、オンライン診療の実施要件の確認です。
2つめは、①導入や利用にかかる費用、②導入時の対応、③システムの内容です。オンライン診療システムごとに大きく異なり、また料金などはHPの情報だけでは誤解が生じやすいため、まずは気軽に各社に問い合わせをすることをオススメします。
ここでは、時限措置下での実施要件とシステムの運営会社に確認すべき内容をかいつまんでご紹介します。
2-1.新型コロナウイルス感染症流行による時限措置中の実施要件や参照すべき資料
▼必ず目を通してほしいものリスト
✔ 実施要件 → まとめた記事
✔ コロナ時限的措置時の実施要件 → まとめた記事
✔ 上記内容のQ&A → まとめた記事
※太字をクリックすると資料に飛びます。
※まとめた記事ではポイントと合わせて、原文を記事化して見やすくなっています。
令和2年4月10日付に厚生労働省からの事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」にて、オンライン診療による初診を含め、時限的な実施要件が定められました。→事務連絡資料
また、しっかりと実施要件や資料に目を通したい方に向けてオンライン診療に関する資料をまとめている一覧がありますので、こちらもご覧ください。 →資料一覧
2-2. 導入検討時にオンライン診療システムの運営会社に確認した方が良いこと
各オンライン診療システムの運営会社に聞いた方が良い内容を表にまとめました。
費用 | ・導入費用/月額費用はいくらか? |
導入時の対応 | ・導入時の設定はどのような作業があるか? ・操作マニュアルや動画などの提供はあるか?・導入まで最短でどれくらいの日数が必要か? |
システム | ・アプリ形式とweb形式のどちらか? ・スマホ/タブレット/PCのいずれにも対応しているか? ・OSのバージョンやブラウザの種類など動作環境に制限はあるか? ・対応している決済方法は何があるか? |
その他 | ・導入前にシステムに関する説明を受けられるか?実際の画面でデモを見せてもらうことはできるか? ・試用期間はあるか? |
3.オンライン診療システムの導入を検討するときに重要なポイント
今から導入検討する際に重要となるポイントがあります。
それは、導入までのスピードと導入後のアフターフォローです。
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は今もなお増加しており、導入までに長い期間を要するオンライン診療システムだと、そういった状況に柔軟に対応するのが難しいです。そのため、導入スピードが速いオンライン診療システムを検討することがポイントです。
加えて、導入後のアフターフォローも重要です。オンライン診療システムを活用するには、患者への周知や、利用する中で発生する操作に関する疑問点をスムーズに解消することが必要です。それらを医療機関だけで対応しようとすると手間や時間がかかるケースが多いため、導入後に手厚いサポートがあるかどうかもシステム選びのポイントになります。
MedionLife編集長。1994年生まれ 京都女子大学卒業。医療系IT企業に入社し、オンライン診療サービスの営業/コンサルティングに従事。オンライン診療情報サイトの重要性を感じたことからMedionLifeを立ち上げる。新しい医療を考える人たちのサポーターになっていきたいと考えている。